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咳と痰が止まらないあなたへ!この冬知っておきたい医学的な原因とケア方法

[2024.12.24]

いとう内科クリニックです。2024年12月、インフルエンザが猛威をふるっています。

今回は冬の咳と痰の正体ついて冬季に咳や痰が増える医学的なメカニズムについて、わかりやすくご説明いたします。

【医学的な観点】

寒冷刺激により、気道の粘膜が乾燥しやすくなるため、バリア機能が低下し、ウイルスや細菌の感染、あるいはアレルギー反応が起こりやすくなります。これが咳や痰を引き起こす一因となります。また、室内外の温度差により、気道粘膜の血管が収縮・拡張を繰り返すことで、粘膜が傷つきやすくなります。

粘膜が傷つくと、それを修復しようとして粘液(痰)の分泌が増えます。これが、冬に痰が増える主な理由です。

【生活習慣の観点】
日常生活での予防と対策

室内の適切な温度(18-22℃)と湿度(湿度は通常は40-60%を目安としますが、冬季では50%以下でもカビの発生リスクが低くため40-50%を維持するだけでも十分です。)を保つことが重要です。加湿器の使用や、こまめな換気が効果的です。

また、十分な睡眠とバランスの取れた食事で免疫力を高めることも大切です。特にビタミンCやビタミンDを含む食品の摂取がお勧めです。

マスクの着用は、寒冷な外気から気道を保護するだけでなく、ウイルスや細菌の感染予防にも効果的です。

※マスク着用の有効性

①飛沫の遮断効果Leung NHL, et al. (2020) の研究では、サージカルマスクを着用することで、飛沫中のウイルスの排出量が大幅に減少することが確認されています。

②エアロゾルの吸入防止Davies A, et al. (2013) の研究では、布製マスクでも一定の遮断効果が認められていますが、不織布マスクの方が効果的とされています。マスクは一部の微小なエアロゾルの吸入も防ぎます。特に不織布マスクは、0.3µm程度の粒子を70-90%遮断する能力があります。

③接触感染のリスク低減:マスクを着用することで、無意識に口や鼻を触る頻度が減少します。これにより、手指を介した接触感染のリスクが低下します。

④他者への感染拡大の防止:無症候性の感染者や軽症者がマスクを着用することで、ウイルスの拡散を大幅に抑制できることが報告されています(Howard J, et al. (2021))。

【治療の観点】
症状別の対処法と受診のタイミング

1. 市販薬の選び方
乾いた咳の場合は鎮咳薬(咳を抑える薬)、痰の多い咳の場合は去痰薬(痰を出しやすくする薬)などを選びます。例えば、咳と鼻水の両方の症状がある場合は、抗ヒスタミン薬を含む総合感冒薬を選ぶと良い場合もあります。ただし、持病がある方や高齢者では成分に注意が必要です。
※ただし、1週間以上症状が続く場合は、医療機関の受診をお勧めします。

2. 受診が必要なケース
- 38度以上の発熱が3日以上続く
- 呼吸が苦しい
- 痰に血が混じる
- 夜間の咳で睡眠が取れない

3. 自然療法
A:はちみつレモン水での喉のケア

Smith SM, et al. (2012) のメタ分析では、はちみつが特に夜間の咳を軽減する効果があり、市販の鎮咳薬よりも効果的である場合があることが示されました。(研究対象は子供を含む急性咳嗽患者)

はちみつレモン水の具体的な臨床試験は多くありませんが、民間療法として広く利用されています。

※ただし、はちみつボツリヌス症リスクがあるため1歳未満の乳児には与えないでください。

B:入浴時の湯気による加湿効果の活用
C:十分な水分補給

重要な注意点として、咳や痰が長引く場合は、単なる風邪ではなく、気管支喘息や慢性気管支炎などの呼吸器疾患や逆流性食道炎や副鼻腔炎、薬剤性咳嗽(ACE阻害薬など)も長引く咳の原因となることがあります。などの可能性もあります。特に以下のような方は要注意です:

- 喫煙者
- 高齢者
- 基礎疾患(心臓病、糖尿病など)をお持ちの方
- 免疫力が低下している方

予防のポイント:

1. 手洗い・うがいの徹底

2. 適度な運動による免疫力の向上

3. 禁煙:喫煙は気道粘膜の修復を妨げるだけでなく、慢性的な気道炎症を引き起こし、肺炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)のリスクを高めます。禁煙は最も重要な予防策です

4. 規則正しい生活リズムの維持

5. マスクの適切な着用

6.ワクチン接種:インフルエンザや肺炎球菌感染症の予防には、適切なワクチン接種が有効です。特に高齢者や基礎疾患をお持ちの方は医師と相談してください。

【受診に関して】

症状のある方は完全予約制になります。院内に待機場所が無いため、場合によっては一度ご帰宅をお願いする場合がございます。必ずWeb予約か電話相談してから受診するようにお願いいたします。

いとう内科クリニック 院長 伊藤 大輔

 

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