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寒い季節の高血圧に要注意!冬の血圧管理術

[2024.11.29]

こんにちは、いとう内科クリニックです。

寒い季節になると、なぜか血圧が上がりやすくなったと感じる方も多いのではないでしょうか。実は、これは気のせいではありません。冬場の血圧上昇は、医学的にも実証されている現象なのです。

冬に血圧が上がるメカニズムと、その対策について詳しく解説していきます。

寒い季節の高血圧に要注意!医師が解説する冬の血圧管理術

【寒さによる血管収縮が血圧上昇を引き起こす】

冬場に血圧が上昇する最も大きな理由は、寒さによる血管の収縮です。

人間の体は、寒さから体を守るために、自動的に末梢血管(手足などの先にある細い血管)を収縮させます。これは体温を維持するための自然な防衛反応です。

血管が収縮すると、同じ量の血液を送り出すために、心臓はより大きな力が必要になります。その結果、血圧が上昇するのです。

これは、水道ホースを途中で細くすると、水圧が上がるのと同じ原理です。血管が細くなることで、血液を送り出す圧力(血圧)が必要になるわけです。

【季節による生活習慣の変化が血圧に影響を与える】

冬場の血圧上昇には、私たちの生活習慣の変化も大きく関係しています。

まず、寒さのために運動不足になりがちです。暖かい室内にこもりがちになり、外出や運動の機会が減少します。運動不足は、血圧上昇の原因となります。

また、寒い季節は体重が増加しやすい時期でもあります。運動量も減るため、体重増加につながりやすいのです。体重増加は血管抵抗の増加や内臓脂肪の蓄積を通じて高血圧のリスクを高めます。

さらに、アルコールの摂取量が増える季節でもあります。少量のアルコールは一時的に血管を拡張させ血圧を低下させることがありますが、習慣的に摂取すると交感神経の活性化や体重増加を通じて長期的に血圧を上昇させるリスクがあります。

【冬場の血圧管理のアドバイス】

では、冬場の血圧上昇を防ぐために、どのような対策が効果的でしょうか。

1. 適切な保温を心がける
- 外出時は首元や手足をしっかり温める
- 室温は18度以上を保つ
- 入浴時の温度変化に注意する(急激な温度変化は血圧の変動を招きます)。脱衣所はヒーターで温めましょう!

ヒートショックには要注意です!

※ヒートショックとは

ヒートショックとは、急激な温度変化が体に与える影響のことで、特に血圧の急上昇や急降下を引き起こし、心臓や血管に負担をかけます。冬場の寒い時期に、暖かい場所から寒い場所へ移動する際や、入浴時に見られやすい現象です。

2. 規則正しい運動習慣を維持する
- 室内でもできる軽い運動を取り入れる
- ウォーキングは温かい時間帯に行う
- 無理のない範囲で継続的に運動する

3. 食生活に気をつける
- 塩分摂取を控えめにする(1日の摂取量6g未満を目標に)
- カリウムを含む野菜を積極的に摂取する ※腎臓が悪い方はカリウム制限について相談が必要です。
- アルコールは適量を心がける

4. 定期的な血圧測定を行う
- 血圧測定は、朝は起床後30分から1時間以内、排尿をすませて朝食摂取や服薬前のタイミングで2~3分のんびりしてからの測定をお勧めします。夜は就寝前のタイミングが最適です。
- 測定値を記録として残す
- 異常値が続く場合は医師に相談する

特に注意していただきたいのは、朝方の血圧管理です。寒い季節の朝は、「モーニングサージ」と呼ばれる交感神経活動の高まりと寒さの影響が重なるため、血圧が特に上昇しやすい時間帯です。暖かい部屋で十分に体を温めてから活動を始めることをお勧めします。

また、冬季の朝方の血圧上昇に対して、持続型降圧薬の使用や服薬時間の調整(夕方の服薬)を行います。自己判断での服薬変更は避け、必ず医師に相談してください。

最後に、冬場の血圧管理は、決して特別なことではありません。日々の生活習慣を少し見直し、適切な対策を取ることで、十分にコントロール可能です。

特に鍋物や煮物が増えるので塩分摂取が増えてしまいます。食事や部屋の温度などにも気をつけてください。

この記事で紹介した対策を参考に、ご自身の生活に合った血圧管理方法を見つけていただければ幸いです。

                             京都市東山区 いとう内科クリニック院長  伊藤 大輔 

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