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冠動脈疾患・虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)の診断・治療

冠動脈疾患とは

狭心症、心筋梗塞

冠動脈は心臓を栄養している血管の名前です。

冠動脈は木に似ていて、根元が太くて先にいくと細くなり枝分かれしています。

冠動脈が細くなり、心臓への血流が少なくなることで、栄養が不足した心臓が悲鳴をあげます。その心臓の悲鳴が症状(胸痛・胸部圧迫感・胸部絞扼感など)として出現します。

冠動脈が原因である病気を冠動脈疾患と表現します。

 

 

知って欲しいこと!狭心症の早期診断は難しい!!

実は狭心症は血液検査や心電図検査などで異常が出にくい病気です。

狭心症の次の段階の『心筋梗塞』に至ると心電図や心臓の動き具合に異常が現れることが多くなります。

心筋梗塞に至る前の段階(狭心症)で診断・治療が大切ですが、検査に異常が出にくいため診断が難しい病気です。診断には専門的な検査が必要ですので、循環器専門医・心臓カテーテル専門医へご相談ください。何故、狭心症では検査に異常があまり出ないのかを含めて説明していきます!

狭心症・心筋梗塞は心臓の病気?脳梗塞は頭の病気??実は血管が病気の原因です!!

狭心症・心筋梗塞と聞くと皆さんは『心臓の病気』、脳梗塞と聞くと『脳の病気』とお考えだと思います。

しかし実際は『血管の病気』です。『梗塞』は『細胞が死ぬ・壊死する』という意味です。

心筋梗塞は心臓の細胞が『壊死』するので心臓の働きが弱ったり止まったりして死に至ります。

脳梗塞は脳の細胞が『壊死』するので脳の働きが弱り、麻痺や喋れないなどの症状が出ます。

何故細胞が壊死するのか?

私達の体は血液を栄養として動いています。血液は血管というホースで全身に流れています。血液が来なくなると栄養不足で細胞が死んでしまいます。つまり心臓を栄養する血管が細くなる(狭窄)と栄養不足になりやすく心臓が悲鳴を上げる狭心症を発症し、血管が詰まる(閉塞)すると栄養がこなくなるので細胞が死ぬ=『心筋梗塞』を発症します。脳梗塞も同じ理由で血管が詰まる(閉塞)すると栄養がこなくなるので脳の細胞が死ぬ『脳梗塞』を起こします。つまり『心筋梗塞や脳梗塞』の原因は『血管が細くなる=動脈硬化』なのです。

心筋梗塞と狭心症の違い。狭心症は異常が出にくい理由

心筋梗塞・脳梗塞の『梗塞』は『細胞が死ぬ・壊死する』と言う意味です。

血管が詰まる=閉塞すると血液(栄養)が届かなくなるので、細胞が死ぬ(梗塞)になります。細胞が死ぬのでその部分の心臓の動きが悪くなります。

狭心症は心筋梗塞の一歩手前で、血管が細くなっても栄養は流れているので細胞は死なずにすんでいる状態です。細胞が生きているため、動くと相対的に栄養不足(走るとたくさん栄養が欲しいことを想像して下さい)のため苦しくなり、休むと治るのが労作性狭心症の特徴になります。『休むと治る』ことが、症状が無い時の血液検査や心電図に異常が現れにくい理由です。

※狭心症にも動脈硬化と関係が乏しい狭心症もあります。

労作性狭心症や心筋梗塞を疑う時

冠動脈が細くなる原因は様々ですが、一般的にカテーテル手術や冠動脈バイパス手術などの手術治療が必要となる狭心症の多くは『動脈硬化』が原因となって『器質的狭窄』をきたした場合です。治療の考え方は心臓へ届く血液を増やすことになります。

栄養が不足した時の症状(狭心症症状)は人によって訴えかたが違いますが(胸が押される・歯が浮く・肩こり)、症状が出る時は『労作性』と言う通り、動いた時に出現し休むと治ることが多いです。心筋梗塞は、血管が詰まって細胞が壊死しているので基本的に治療(カテーテル治療など)を開始しないと症状の改善は期待できません。壊死した細胞は生き返ることはないため少しでも心臓の細胞を助けるために、心筋梗塞を発症した場合はできるだけ速やかに治療を受ける(発症12時間以内。早ければ早いほど)ことが重要です。

症状が不安定な時は、不安定狭心症や急性心筋梗塞の可能性があるため

迅速な対応が必要です。→当院であれば最寄りの京都第一赤十字病院への紹介を行います。

※不安定な時:①症状の程度の悪化 例:坂道の上り下りで感じていた軽い胸の圧迫感が、酷くなってくる。②症状の頻度増加 例:半年に一度程度の胸部症状が月1回→1週間1回と多くなってきた場合など。このような症状の時は急いでご相談下さい。

検査・診断

『一般的な検査』

血液検査・心電図・心臓超音波検査は心不全の併発などを調べるのに有用です。

症状がある時の心電図も冠動脈疾患の診断に有用です。

『精密検査』

※クリニックでは行えないため提携病院へ紹介致します。

狭心症は血管が細くなった結果、心臓へ届く血液が不足するために生じる病気です。血管の働きを調べることが重要です。

血管は外からは見えないため、狭心症の精密検査には次の様な検査をお勧めしています。

負荷心筋S P E C T

血液の流れに沿って心臓に色をつける薬を注射して写真をとります。

午前・午後と2回写真を撮る必要があるので半日仕事ですが外来で行える検査です。

腎臓にも優しく安全な検査です。評価がやや難しく正診率は80-90%程度と言われています。

心臓C T

外来で行える検査です。造影剤を使用して写真を撮影することにより血管の形を映し出します。血管の形態や狭窄度の評価がしやすい検査です。以前、心臓C Tは見た目の評価しかできなかったのですが、一部の病院では心臓CT dateを外部(Heart Flow社)へ提供することで『FFR-CT』という血管の働きを調べることが可能となりました(追加費用がかかります。詳細は検査実施医療機関でご確認ください)。血管の働きを数値で示します。心臓C Tが適さない患者さんとしては腎機能が悪い方や、石灰化が強い患者さんでは評価が難しくなることがあります。

参考 F F R―C T

心臓カテーテル検査

昔から冠動脈疾患の精査として行われています。入院が必要ですが確実な診断と治療が必要な病変があった場合は病変の状態によりますが引き続き治療を行うことも可能です。心臓C Tや心筋シンチグラムと比較して身体的負担が大きいため、病状が安定していれば、まずは外来検査をお勧めします。胸部症状が増悪傾向であったり症状が頻回に出現するなど、病状が不安定な時はカテーテル検査による確実な診断・治療をお勧めします。

検査毎のメリットデメリットのまとめ

検査 メリット デメリット
負荷心筋SPECT

外来で検査可能

腎機能への影響が無い

安全性が高い

血管の形態評価ができない。

患者さんは結果が分かりにくい。

心臓CT

外来で可能

形態評価が可能

プラークの性状評価が可能

造影剤が必要=腎臓の悪い患者さんには検査を勧めにくい

石灰化が強いと評価困難と判定される場合がある

心臓カテーテル

治療ができる

非閉塞性冠動脈疾患の評価(将来的に見込まれている)

入院が必要

造影剤が必要=腎臓の悪い患者さんには検査を勧めにくい

合併症を含めて身体的負担が他の検査より大きい

治療方法

基本は薬物療法+生活習慣の改善です。

『生活習慣の改善』

・運動療法

・食事療法

・禁煙

・血圧管理

『薬物治療』

  • 症状緩和

      ・短時間作用型の硝酸薬

      ・βblocker

      ・Cablocker

      ・長時間作用型の硝酸薬

  • 心血管イベント予防

      ・抗血小板療法(血をさらさらにするお薬です。デメリットは出血が止まりにくくなります)

      ・脂質低下療法

侵襲的治療

①冠動脈バイパス手術②カテーテル治療

どちらの治療方法が良いかは基礎疾患と血管の状況により判断されます。

バイパス手術

他の血管(内胸動脈・大伏在静脈など)を冠動脈に繋ぎ心臓への血流を増やします。

カテーテル治療

動脈硬化で細くなった箇所を治療の器具で拡げます。

動脈硬化のゴミを取り除くわけではなく風船で通り道を押し広げて、『ステント』という金属の筒で支えることで血液の通り道を太くする治療です。血管全体を広げることは難しく狭くなった部分を治療する『局所治療』になります。

一口に『カテーテル治療』と言っても、動脈硬化が進み血管が骨の様に固くなると風船では広がらないのでRotablatorという血管治療用のドリルで削り取る治療もあります。

またステントを使わず風船で広げるだけで終了する治療などもあります。どの様なカテーテル治療が良いかは、治療対象血管の状況によってその場で判断します。

血管内超音波検査(Intravascular ultra sound : IVUS)や光干渉断層撮影(Optical Frequency Domain Imaging: OFDI)を用いて血管の状況を把握します。

 

・非閉塞性冠動脈疾患(INOCA)

上記図の機能的冠動脈疾患(冠攣縮性狭心症)と冠微小血管障害(微小血管狭心症)は、通常は血管の太さが維持されているので検査をしても病変が指摘できません。

微小血管に至ってはカテーテル検査でも見えないくらい末梢(木で言うところの先っぽの部分)の血管を指します。

血管を攣縮(縮こめる)させる薬を使用しながらカテーテル検査をすることで診断がつく場合がありますが、必ず診断がつく訳ではありません。

微小血管の働きを調べるセンサーを直接冠動脈に入れて検査することも、一部病院では行われております。

治療

交感神経・副交感神経の影響もあると言われており、禁煙・生活習慣の改善と冠拡張薬が治療となります。

・心臓カテーテル治療専門医として

日本において急性心筋梗塞患者の30日以内死亡率はOASIS研究で7.1%,HIJAMI研究で9.4%と報告されています。

P A C I F I C研究では退院2年後までの全死亡率はS T上昇型急性心筋梗塞で7.1% 非S T上昇型急性心筋梗塞で5.1%と報告されています。

心筋梗塞を発症すると死に繋がることや救命できた場合でも心不全に繋がる障害が残るため、心筋梗塞の一歩手前の『狭心症』の段階での治療がとても重要と考えています。

患者様に安心で健康な生活を続けてもらいたいと思っていますので、狭心症が心配でしたら是非ご相談下さい

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