いびきはなぜ起こる?
💤 いびきはなぜ起こる?
〜放置しないで!「音」に潜む健康サイン〜
■ いびきとは?
いびきとは、睡眠中に空気の通り道(上気道)が一時的に狭くなり、呼吸によって通過する空気が、喉の軟らかい組織(舌根、軟口蓋、口蓋垂など)を振動させることで発生する音です。
これは「上気道の振動音」であり、音が大きい・頻繁に起こる場合、睡眠の質や健康に影響を与えることがあります。特に仰向けで寝ていると、この現象が顕著に起こりやすくなります。
■ いびきの発生メカニズム
いびきは、主に次のような状況で起こります。
状態 | 説明 |
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睡眠時の筋弛緩 | 喉の筋肉が緩み、気道が狭くなる |
仰向けでの就寝 | 舌が喉の奥へ落ち込みやすくなる |
軟口蓋の沈下 | 振動が起きやすくなり音が生じる |
特に仰向け寝、深い眠り(REM睡眠期)、飲酒後などにいびきは強くなりやすい傾向があります。
■ いびきの主な原因
① 解剖学的・体質的要因
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下顎が小さい、後退している
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首が太く短い
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鼻中隔湾曲や肥厚性鼻炎
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扁桃肥大やアデノイドの遺残
② 生活習慣・環境要因
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肥満(特に首周囲や舌根の脂肪)
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飲酒(筋肉の弛緩を助長)
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喫煙(気道粘膜の炎症・浮腫)
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睡眠薬・抗不安薬の使用
③ 睡眠姿勢
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仰向けで寝ると重力で舌が落ち込みやすく、気道が狭くなります
④ 鼻閉や口呼吸
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アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などで鼻が詰まり、口呼吸になりやすくなると、いびきが増強します
■ いびきの種類と特徴
種類 | 特徴 |
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一過性いびき | 疲労・飲酒・風邪の時など、一時的に出るいびき |
習慣性いびき | ほぼ毎晩かくいびき。継続する場合は対策が必要 |
体位性いびき | 仰向けでいびきが増強、横向きで軽減するタイプ |
持続性いびき | 姿勢に関係なく毎晩いびきをかく状態。重症の兆候となることも |
■ いびきによる影響
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同室者・家族への騒音トラブル
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本人の睡眠の質の低下
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日中の眠気・集中力低下
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慢性的な喉の違和感・乾燥感
※いびきが強い・止まるような瞬間がある場合には、睡眠時無呼吸の可能性もあります。いびき単独でも放置は避けましょう。
いびきは「ただうるさい音」ではなく、重症化すれば高血圧・心疾患・脳卒中・認知症に至る危険信号でもあります。生活習慣の見直しに加え、必要な検査・治療を受けることで、QOLの改善と健康寿命の延伸が可能です。
Q.いびきで受診するのは何科?
状況 | 推奨診療科 |
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鼻詰まりや鼻の異常がある | 耳鼻咽喉科 |
生活習慣病や高血圧を指摘されている | 内科・循環器内科 |
歯並びや顎の問題を指摘された | 歯科・口腔外科 |
日中の強い眠気・肥満・首回りの脂肪が多い | 睡眠時無呼吸外来(SAS) |
Q.なぜ睡眠時無呼吸症候群の診断・治療に内科や循環器内科も起点になるの?
☑睡眠時無呼吸症候群に併発する生活習慣病との同時ケアができ、糖尿病・高血圧・肥満の治療にも対応。
☑いびきの検査を在宅によるスクリーニング(簡易モニター検査)を行います。必要に応じて連携専門施設へ紹介して精密PSG検査(入院)へと繋いでいきます。
⭐️当院での対応
当院は内科・循環器内科として生活習慣病との関わりが深い睡眠時無呼吸症候群の診断・治療を行っております。
睡眠時無呼吸症候群の診断プロセス
当院では、問診・生活習慣の評価に加え、自宅で利用可能な簡易モニター検査(直接貸出またはメーカーからの郵送対応)からスタートします。ここで記録された呼吸数・酸素飽和度を評価し、異常があれば精密PSG検査を連携施設(京都第一赤十字病院)へご紹介。
■ 自宅でできるいびきの改善法
✅ 1. 睡眠姿勢の工夫
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横向きで寝ることで舌の沈下を防ぎやすくなります。
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高すぎず低すぎない枕(10〜15cm程度)も効果的。
✅ 2. 飲酒・喫煙の制限
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寝る前2時間以内の飲酒は避けましょう。
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喫煙は気道粘膜の腫脹を招くため、禁煙が望ましいです。
✅ 3. 鼻呼吸のサポート
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鼻腔拡張テープや鼻洗浄、生理食塩水による加湿が効果的です。
✅ 4. 減量
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首まわりの脂肪減少により、気道の確保が改善されます。
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わずか数キロの減量でも効果が出る場合があります。
✅ 5. オロフェイシャル筋トレ(口腔・舌・のどの筋トレ)
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舌・咽頭の筋力強化によって気道の安定性が高まります。
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毎日10分のトレーニングで、いびきの頻度や強度が軽減する報告あり。
■ まとめ
いびきは単なる音ではなく、睡眠の質や健康リスクに密接に関わる重要なサインです。生活習慣の見直しやセルフケアで改善することも多く、放置せず早めの対処を心がけましょう。