漢方医学について
漢方医学
漢方と中医学
元々中国から伝来した医学(中医学)に日本独自の解釈で発達した伝統医学がありました。
西洋医学である『蘭学』が日本に入り出した頃に、蘭学と区別するために『漢方』という名称がつけられました。
つまり『中国の伝統的な医学』=『中医学』 『日本独自の伝統的な医学』=『漢方』となります。
漢方の診察方法
漢方には四診という『西洋医学』とは異なる診察方法があります。
【望診】
視覚を用いた診察(顔色、皮膚の色の他、舌の様子を見る舌診も含まれます)。
【聞診】聴覚と嗅覚を用いた診察(声の大きさ、においをもとに診察します)。
【問診】
現病歴や既往歴だけでなく、患者の体質傾向(寒がり・暑がりなども)を聞き出すための質問をします。
【切診】
触覚を用いた診察。脈やお腹に触れ抵抗感や圧痛の有無などで判断します。
漢方特有の考え方
【虚実】
実証:体格、顔色、皮膚のつやなどから病気をはねかえす力が充実している状態
虚証:病気を跳ね返す力が減弱している状態
【陰陽】
人の体は陰陽のバランスが整っている状態が健康であり、バランスが乱れると病気になるといった考え方。
病気の人もこの『陽』『陰』に分けて考えます。
陽証:例として、何かの感染症に罹患した場合、『体力、気力』があり『新陳代謝が活発』で『顔色も良好』で『病気に克つ』という反応が良好
陰証:例として、何かの感染症に罹患した場合、『体力、気力』が不十分で『新陳代謝が衰え』て『顔色も不良』で『病気に克つ』反応が不良
当クリニックの漢方薬の使い方
『西洋医学』に『漢方』を加える『モダン漢方』
私自身は漢方の専門医ではありませんので『生薬を煎じる』『生薬の組み合わせの調整』『四診を行う』などのような漢方医の診療は行っていません。
ただ『症状に合わせてお薬を処方する』は『西洋医学』と同じです。
例えば『西洋医学の薬』は『痛み』→『鎮痛薬』/『咳』→『鎮咳薬』と対象がはっきりとた治療目的となっています。一方『全身倦怠感』『疲労感』のような漠然とした症状に対応した薬は苦手分野になります。
このような『全身倦怠感』『疲労感』に対して、『補中益気湯』『人参栄養湯』
『食欲不振』に対して『六君子湯』や『四君子湯:六君子湯が胃に障る場合』
など『漢方』を加えることで患者さんの症状軽減を考えています。
まとめると『西洋医学の苦手なところを漢方薬で補う』診療になります。
※漢方薬の効果は常に一定ではなくその時の体の状態(実・虚)により効果が変わるので、長期間の内服は薦めておらずあくまで短期間の処方で経過を見て、その後の処方を検討変更や中止する方針としております。