心不全診療ガイドライン2025年版の主な改定点
こんにちは。いとう内科クリニックです。
日本の心臓病患者数は年々増加傾向にあり、特に心不全は「静かなる流行病」と呼ばれるほど深刻な問題となっています。そんな中、重要な改訂がありました!日本循環器学会から2025年版の心不全診療ガイドラインが発表されました。
300ページにも及ぶ膨大なガイドラインですので、詳細は当院ホームページの「心不全の診断・治療」を見ていただければと思います。
改訂されたガイドラインのポイント
①名称の変更 急性・慢性といった表現が無くなりました
・急性期からの切れ目のない治療の重要性と,急性期と慢性期の明確な区別が困難であることを鑑み「心不全診療ガイドライン」と名称が変わりました。
②心不全リスク評価について
・心不全ステージA(心不全のリスクはあるが症状はない段階)について早期評価・予防的介入が強化されました。
③薬物療法
ガイドラインに基づく薬物治療(Guideline-directed Medical Therapy:GMDT)の推奨
・日本での保険適応が認められていない薬剤に関しても、将来に向けて情報が記載されています。
④遠隔モニタリングの積極的活用
・植込み型デバイスからのデータ送信
・ウェアラブルデバイスによる日常的な心拍数・活動量のモニタリング
・自宅での体重・血圧測定データの共有
最後に:健康な心臓を守るために今できること
新しいガイドラインの発表は、医療関係者だけでなく一般の方々にとっても重要な情報です。心不全の予防や早期発見のために、以下の点に注意してみてください
定期的な健康診断を受ける(特に40代以上の方) |
高血圧や糖尿病などの基礎疾患をしっかり管理する |
塩分控えめのバランスの良い食事を心がける |
適度な運動を継続する |
禁煙する(喫煙は心臓病のリスクを高めます) |
過度のストレスを避け、十分な睡眠をとる |
もし「息切れがひどくなった」「足がむくみやすくなった」「横になると息苦しい」などの症状があれば、早めに医療機関を受診してください。
健康な心臓は健康な人生の基盤です。この機会に、ご自身やご家族の心臓の健康について考えてみませんか?
いとう内科クリニック 院長 伊藤 大輔