ヨーグルトは食べ過ぎると体に悪い?『適量』がやっぱり大事!!
こんにちわ、いとう内科クリニック院長の伊藤です。日常の診療で患者さんから質問があった、素朴な疑問についてお答えできればと思います。
今回は会話形式でお伝えします。
登場人物紹介
-
医師 I:内科クリニックの院長先生。
-
患者 P:健康に興味がある。最近ヨーグルトにハマり中。
-
栄養士 T:クリニックで働く栄養士さん。食の専門家。
ヨーグルトを毎日400g食べている患者Pさん
患者P:「先生、ヨーグルトって体にいいって言いますよね。だから最近、毎日400gくらい食べてるんです。お通じもいいし、肌の調子も良い気がして。でも友人に“それ多すぎない?”って言われて……ちょっと不安になってきました。」
医師I:「健康意識が高くて素晴らしいですね。確かにヨーグルトは健康効果が期待される食品です。でも、どんなに良いものでも“適量”が大切なんです。管理栄養士のT先生に、詳しくお話してもらいましょう。」
管理栄養士T:「Pさん、毎日の食生活に気を配っていらっしゃるのは本当に素晴らしいことです。ただ、ヨーグルトを1日400gというのは、実はちょっと摂りすぎかもしれません。」
患者P:「えっ、そんなにですか?たくさん食べた方が体にいいと思ってました。」
T:「実は、ヨーグルトの適量は1日100~200g程度が目安なんです。市販のカップヨーグルトで言えば1~2個分ですね。Pさんの400gは、その2~4倍に相当します。」
T:「たとえばですね──」
①カロリーの問題
「種類によりますがヨーグルト100gで50~80kcal程度あります。400gだと200~320kcalに相当します。これはご飯1杯分以上のカロリーです。」
P:「えっ、そんなにあるんですね……。なんだか毎日“ご飯一杯分”をヨーグルトで余分に食べてたんですね。」
②乳糖不耐症
「それと、Pさんも感じているかもしれませんが、日本人は乳糖を分解する酵素が少ない方が多いので、大量に摂るとお腹がゴロゴロしたり、下痢を起こしたりすることがあります。」
P:「あ……それ、ちょっと思い当たります。なんとなくお腹が張ってたんですよね……」
③脂質・飽和脂肪酸の摂取量
I:「ヨーグルトには脂肪分も含まれています。特に飽和脂肪酸という成分は、血中コレステロール値に影響を与える可能性があります。」
P:「コレステロール……それはちょっと心配ですね。健康のために食べてたのに。」
④加糖ヨーグルトの糖質量
T:「甘いヨーグルトは、糖質が10g以上/100gほど含まれていることもあります。400g食べると角砂糖8個分以上の糖分を取ってしまうことも……」
P:「えぇっ……毎日それだけ糖分を?それはショックです……無糖のに変えた方がいいですね。」
P:「じゃあ、どうやって食べるのが一番いいんでしょうか?」
T:「以下の4つのポイントを意識すると、効果を最大限に活かせますよ。」
-
量は1日100~200gまで(カップ1~2個程度)
-
無糖タイプを選ぶ(甘みが欲しいときは果物やはちみつを少量)
-
食前や食後に食べる(空腹時は乳酸菌が胃酸で死滅しやすいため)
-
納豆や味噌など他の発酵食品と組み合わせて多様な菌を摂る
P:「夜に食べると太るって聞いたことがあるんですけど、それは本当ですか?」
T:「よくある誤解です。ヨーグルト自体に“夜に太る成分”はありません。太るかどうかは1日の総摂取カロリーの問題です。ただし、就寝直前の食事は消化に負担をかけるので、夜なら遅くとも寝る2〜3時間前までに食べるのがおすすめです。」
I:「それから、“ヨーグルトを食べているから他の栄養はいらない”というのも誤解です。あくまで全体のバランスが大切ですよ。」
P:「なるほど、腸活のつもりがカロリー過多や栄養の偏りになっていたかもしれませんね……気をつけます。」
T:「ちなみに、脂質異常症の方は食べるヨーグルトの種類も意識して下さいね」
- LDLコレステロール値が高い方:無脂肪や低脂肪ヨーグルトがオススメ。飽和脂肪酸の過剰摂取を防ぐため、肉類や他の乳製品との食べ合わせに注意。
- HDLコレステロール値が低い方:低カロリーのヨーグルトがオススメ。中性脂肪値との関連性が高いので、中性脂肪値が高い方も要参照。
- 中性脂肪値が高い方:無糖のヨーグルトがオススメ。糖質の過剰摂取を避けるため、固形のものに比べて1回に飲む量が多くなりがちなドリンクタイプには注意が必要。
I:「Pさん、今日のお話で少しでも参考になりましたか?」
P:「はい、とてもよく分かりました!ヨーグルトは体に良いけど、“適量”が大切なんですね。今日から100〜200gを目安に、無糖タイプに変えてみます!」
T:「それがとても良い選択です。ぜひ他の食品とも組み合わせて、バランスの良い食事を続けていきましょう。」
I:「健康的な習慣は積み重ねが大事です。焦らず、コツコツで十分ですよ。」
P:「はい、今日来て本当によかったです。ありがとうございました!」
ちょっとした食習慣の選び方が、将来の健康につながります。少しでもお役に立てれば幸いです。